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    2018年を展望して

     もう一つは戦争リスクである。北朝鮮ばかりでなく、中東地域も非常に危なくなってきている。イスラエルの建国の根拠となったバルフォア宣言から今年はちょうど100年目になる。

     今ロシアのプーチン大統領が、シリアのアサド独裁政権を徹底的に支え、イランを背後から支援し、さらにはトルコのエルドアン大統領を引き込んで、完全に中東の支配体制をつくりつつある。そういう中で、イスラエルのネタニヤフ首相が二つのスキャンダル事件に関わって、捜査当局から5回目の事情聴取を受けている。その疑いから逃れる為にイランに対して攻撃を加える準備を始めているように見える。

     イスラエルが暴発する可能性もあるが、そのイスラエルと組んでいるサウジアラビアが不安定になってきている。OPECで原油の減産を9ヶ月延期することが決まったばかりだが、サウジアラビアは抱えている様々な内部矛盾を解決することができないのではないかと思う。

     サウジアラビアは「サウード家のアラビア」という意味だが、初代アブドゥルアジズが1932年に国をつくって、1953年に亡くなった。その後、今日まで64年間、初代アブドゥルアジズの息子が第2代から第7代まで続けて国王になっている。初代アブドゥルアジズには息子が36人、娘が24人、計60人の子供がいて、その息子がずっと王位を継承してきた。2年前の2015年に即位した第7代のサルマン国王が自分の息子である32歳のムハンマドを皇太子に決めた。そのムハンマドは実権を握ると今までの王族による合議制によらず、独断で世界的に有名な大富豪のタラール王子をはじめ、多くの王族を逮捕して巨額の資産の没収を始めている。彼が即位をすると初めて世代が変わることになるが、現在の混乱状態を見るとそこまで体制が維持できるかどうかわからない。

     このサウジアラビアがイスラエルと組んで、イランと事を構える可能性もないわけではない。そうなるとサウジアラビアは崩壊するだろう。更にはつい先日アメリカのトランプ大統領がユダヤ教、キリスト教、イスラム教の共通の聖地であるエルサレムをイスラエルの首都とすることを認め、アメリカ大使館を移転させると表明した。当然ながらイスラム教徒であるアラブ人やパレスチナ人は猛烈に反発しており、新たな戦争の火種をつくり、大混乱に拍車をかけてしまった。

     こうした世界情勢の中で、これからの世界をどうつくるかという絵を描いているリーダーが世界中どこにもいない。トランプ大統領がアメリカファーストと言っているように、皆自分のことで手いっぱいの状況である。

     第2次世界大戦が終わった頃は、アメリカのルーズベルト、イギリスのチャーチル、フランスのドゴール、ソ連のスターリン、更には非同盟の国々の中にもエジプトのナセル、ユーゴスラビアのチトー、インドのネルー、中国の周恩来、インドネシアのスカルノなど、非常に優れたリーダーがいて、その人達は自分なりの夢を持っていたと思う。従ってそういうリーダーが集まって、新たな秩序をどうつくっていくかという話し合いができた。ところが今、そういうことをやろうとするリーダーはいないし、まとめようとするリーダーもいない。リーダー不在のリスクは極めて大きい。先行きが見えなくなって不安だけがどんどん堆積してくる中で、強いリーダーに引っ張ってもらって、日々の生活が何とかできればそれでいいというような気分に世界中がなりつつあるのではないかと感じる。まさに独裁者を容認する空気がつくられてきている。特に2008年のリーマンショック以降、世界には独裁者がどんどん増えてきている。ロシアのプーチン、中国の習近平、トルコのエルドアン、シリアのアサド、イスラエルのネタニヤフ、フィリピンのドゥテルテ、北朝鮮の金正恩、そして日本の安倍首相等である。その独裁者が各々の国を治められなくなった時に世界は分裂から大混乱に向かわざるを得ない。

     今、日本のリーダー達もそういうことが起こる可能性があることを十分に熟知して、日本としてどういう備えをしていくかを考えておくべきだと思う。幸い日本は素晴らしい頭脳や科学技術、そして優れた伝統文化を持っている。アメリカから兵器を買うよりも、もっと科学技術分野に集中的に投資して、高速レーザーによるミサイル迎撃システムの構築等まさに専守防衛の為の技術を身に付けるべきではないかと思う。地方には素晴らしい企業もたくさんある。また国内では気が付かないけれど海外の人達が気付いている世界に一つしかない技術を持っている企業も日本には多数ある。そういうところをしっかり支えていくことが大切だ。

     上からの統治の限界が世界的に表れてきており、いわゆる草の根民主主義の流れの中で、地域のリーダーを中心に個性的な地域づくりをやっておけば、そんなに心配することはない。そして私は常に言い続けていることだが、世界の国々から敵視されない国、日本という国があることがどの国にとっても必要なのだと思われるような国づくりを進めていくことが最も大事なことではないかと思っている。

     来年も大変な年になるだろうが、出口のないトンネルはない。これからトンネルに入ることになるかもしれないが、必ず将来その出口は明るいものになっていくと思う。そういう道筋を何とか見つけていければと思う。

    (了)