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    2018年を展望して

     また金融については、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の連邦公開市場委員会(FOMC)が12月12日(火)〜13日(水)に開かれたが、市場の予想通り短期金利の指標となるFF(フェデラル・ファンド)レート(短期金融市場の実勢金利)の誘導目標を「年1.00〜1.25%」から「年1.25〜1.50%」へと0.25%幅引き上げることを決定した。FRB議長のイエレン氏は来年2月で引退し、その後継としてジェローム・パウエル氏がトランプ大統領から指名されている。パウエル氏もおそらくイエレン氏の政策を継承していくだろう。両氏の考え方は、ドルを守る為にも利上げは必要だということ、そして膨れ上がっているFRBの資産を少しでも縮小させる方向に向かいたいということだろう。

     アメリカの短期金利がどうなるか、まさに金融リスクの中で、当面一番大きい問題なのではないか。新興国をはじめドルで借金をしている国はたくさんあるわけで、中国もその一つ。そういう国が大きな影響を受けるのは間違いない。中国もアメリカと色々な駆け引きをやりながら、何とか中国の習近平体制を維持していきたいということだと思う。

     更に金融について私が最も心配しているのは日銀の問題である。私から言えば、日銀は既に禁じ手に踏み切ってしまった。実現不可能ないわゆるアベノミクスを推進する為に安倍首相と黒田日銀総裁の下で、財務省と日銀が一体になって例のない異常な金融緩和を始めてしまったわけで、もはや後戻りができないような状況になっている。

     私はかつて自民党にいた時に、当時の麻生政調会長と相談し、経済物価問題調査会を再編成して総合経済調査会をつくり、その会長を務めた。小泉政権発足後間もない時だったが、当時はデフレ脱却が当面の最大の課題だった。私はデフレを脱却する為に金融政策だけでは絶対にできないと言い続けた。当時、自民党の中でも、インフレターゲットを設定し、日銀が中心となってそこに誘導していくことがデフレ解消の為に必要だと言う意見も強かったが、私はそんなことはできるはずがないと主張していた。デフレというのは需給関係が供給過剰になってバランスが取れなくなり、物価が下がり続ける状態を言うのだが、消費が大きく落ち込んでいる時に供給サイドだけに手を入れて抑制しようとしてもなかなかうまくいかない。更に内需拡大の為に思い切った経済政策や財政政策を実行せずに、金融政策だけでそれをやろうとしても無理なのである。

     ところが残念ながら小泉政権以降、金融政策が変えられてしまった。かつて日銀の独立性を強め、政府の言いなりにならないようにする為に日銀法を改正したのだが、安倍首相と黒田日銀総裁の下で、今や日銀は財務省と一体のようになってしまった。法律で禁止されている国債の直接引き受けはできないが、市場からどんどん国債を買い続けており、実態的には国債の直接引き受けと同じような姿になっている。更には国債ばかりでなく、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)まで買い続けている。その結果、日銀の資産がどんどん膨らみ、既に本年3月末時点で総資産490兆円を超え、国債保有残高も418兆円に達している。こうした状況下でもし国債が値崩れするような事態が起こった場合には、日銀は巨額の評価損を抱えることになる。そのことを指摘すると、一部の日銀関係者や学者の中には、それは会計処理上何も問題ない、とにかくずっと保有していれば、満期が来た時にちゃんと回収されると言う人達もいる。しかしそれだけの大きな含み損を抱えることになれば、日銀の信用が失われる可能性がある。

     日銀の主要な任務は、物価の安定、通貨の信用維持、通貨システムの安定である。そのいずれについても日銀がこれから責任を果たすことができるかどうか、極めて心配である。ただ幸いなことに個人金融資産がまだ1,800兆円あるし、巨額の対外純資産があるのでまだ心配ないと主張する人達もいるが、余力のあるうちに解決策を見出さないと再建不能になってしまう。

     今、日銀のマイナス金利政策の下でメガバンクも困っているが、それ以上に地方の金融機関が持たないのではないかと言われている。こうした状況下で、地方の金融機関が倒れることになったら大変なことになる。メガバンクも先般、みずほ銀行が19,000人分の業務を削減すると発表した。メガバンク全体では32,000人分の業務を減らすとしている。かつては金融機関の安全神話があったが、アメリカの短期金利の引き上げを大きな引き金として、リーマンショック以上の金融危機が世界に波及する恐れがあると思う。

     世界の金融市場は、債券市場も株式市場も中央銀行が支えざるを得ない状況になっている。日本もそうだが、イタリア、スペインにしても、あるいはギリシャ、ポルトガルは言うまでもないが、中央銀行が支えきれなくなってどこかの国が崩壊すると、ドミノ現象のように世界全体が大混乱に陥るだろう。

    (続く)