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    民進党に望むこと。

     野党再編成の一つのきっかけになればよいと思っているのだが、ようやく民主党が発展的解消をして「民進党」という政党に衣替えをした。ただ単なる数合わせのように野党第一党の勢力を大きくすればいい、議席数を増やせばいいということだけで終わってしまったのでは意味がない。今の安倍政権の政策の行き詰まりがだんだんと明らかになりつつあり、夏の参議院選挙だけでなく衆議院の解散も近いのではないかと言われている。安倍首相としては選挙が先へ行けば行くほど自分の手で解散をすることが難しくなる。あわよくば同時選挙が望ましい、それができなくても秋には解散に持っていきたいと考えているように見える。選挙で思い通りに勝てれば衆議院の任期4年間いっぱい、東京オリンピックの頃まで政権が維持できるということも睨んでいるのだろう。

     安倍政権について私は以前から指摘しているが、立憲国家である日本において憲法を超越した強大な権力を、行政権の長である首相が持っているかのような政治を行っている。これはとても危険なことだ。その強大な権力によって実行している政策は、外交安全保障はもとより経済・財政・金融政策においてもアメリカの影響力と財務省主導という二つの力によって動かされているように見える。日本の保守政治、自民党政治が長い間かけて築き上げてきた中間所得層を中心とした健全な社会、いわゆる一億総中流社会、そして第二次世界大戦後絶えず世界のどこかで局地戦争、紛争があったけれど、それに巻き込まれずに平和を維持してきた日本社会が根底から崩されようとしている。まさに今、第二次世界大戦後最大の危機に直面しているように感じる。

     振り返ってみると、日本は戦後、荒廃した国土と惨憺たる経済、国民生活を復興させていく過程でアメリカとの協調を基本に置いて、優れた工業製品を作り、主にアメリカという大きな購買力を持つ市場に積極的に輸出をして富を蓄えてきた。その富を一部の人達が占有するのではなく、多くの人が満足感・充足感をある程度持てるような社会をつくる為に適正な分配をしてきた。その結果として本来資本主義ではつくり得ない中間所得層を中心とした一億総中流社会の構築に繋がったのである。何もGDPを大きくすることを目的としたわけではなく、戦後の荒廃から立ち上がって一人一人の国民の生活の豊かさをどうやって実現するかということをひたすら考えてきた結果だったのである。

     ところが日本がアメリカに次ぐ経済力を持つようになり、アメリカにしてみれば安全保障も経済も日本がタダ乗りをしているように見えるものだから、もっとアメリカの国策にも協力しろ、世界経済にも貢献しろということで日本に対する圧力が強まっていった。そういう中で、7年8ヶ月に渡って長期政権を維持した佐藤政権、その後の田中内閣、いわゆる角福戦争から生まれた三木内閣を経て、福田、大平そして鈴木善幸内閣の後、昭和57年に中曽根政権が誕生した。その中曽根首相が当時のレーガン米大統領と信頼関係を築いたということで「ロン・ヤス」関係と言われ、日米間が極めてうまくいっていたと言われているが、私からみると中曽根政権時代に今の対米従属路線が敷かれてしまったように思う。1985年のいわゆる「プラザ合意」によって、ドルと円との為替レートの大幅な円高誘導を容認し、その後のバブル経済の流れをつくるとともに、日銀の総裁だった前川春雄氏が座長を務める首相の私的諮問機関で、いわゆる「前川レポート」を発表した。その報告書は日本経済の対米貿易黒字を減らし、内需拡大に努めるとともにアメリカへの投資を進めるというアメリカの強い要請を受けてつくられたように見える。日本の市場を開放する為の様々な規制緩和や構造改革をアメリカの意向を受けて日本の意思として報告書にまとめたようなものだと思う。その報告書を受けて、日米構造協議が始まっていき、またそれに基づいて対日年次改革要望書が出されるようになった。これがその後のクリントン−宮沢時代にハッキリと表に出てくる。そしてそれを実現する為の政権がまさに小泉政権だったのである。フルブライト奨学金をもらってアメリカで勉強した竹中平蔵氏が政策立案実行の責任者となり、小泉首相の強力な個性とリーダーシップのもとで規制緩和や構造改革を着々と実行に移していった。

     小泉政権が終わった後、安倍政権、福田政権、麻生政権と続くが、いずれもその流れを継承した路線だった。その結果、デフレの解消もできない、景気回復も進まない、年金や医療を中心とした社会保障も全く先行きが見えない。そういう中で国民の負担が増大し、もはや自民党政権では国民の期待に応えられないという状況のもとで2009年に政権交代が行われ、民主党政権が生まれた。その民主党政権が誕生した時に多くの国民が期待したのは、1日も早く景気を回復し国民の所得を増やしてほしいということ、もう一つは社会保障の安定だった。ところが民主党政権はその期待にまったく応えることができなかった。その後、鳩山首相が沖縄の問題の責任をとって辞任する。菅首相は東日本大震災に対して全くお粗末な対応しかできず、政権の危機管理能力の欠如が国民の前に晒されてしまった。菅内閣の後を受けた野田政権は完全に財務省コントロールの政権になってしまった。国民の意思に反する消費税の引き上げを主導し、自民、公明と三党合意をつくって自ら負けるに決まっている解散・総選挙に打って出て惨敗した。その結果、再び発足した安倍政権は小泉-竹中路線を継承するばかりか、それを更に加速化させている。私の目から見ると、大資本、大企業、富裕層の為の政治にしか見えないし、また世界に敵の少ない国だった我が国をアメリカの外交安全保障に追随する結果どんどん敵を増やしてしまい、日本の安全を保障すると言いながら逆に不安定なアジア情勢、世界情勢をつくることに加担しているように見える。安倍首相は「普通の国」を目指すと言っているが、「普通の国」の意味がよくわからない。平和な国ではなく、周辺に敵をどんどん作っていくことが「普通の国」なのかと思いたくもなる。

     最近はこのような安倍首相の間違った政策と強引な政治手法に対して、国民が危機感を持ち始めているように見える。そういう中、先へ行けば行くほど政策の失敗が明らかになってくるので、できるだけ早く選挙をやってしまいたい考えがあるのだろう。衆参同時選挙がなくても参議院選挙はあるわけで、明らかに選挙を意識した発言、行動、政策が目立っている。国民の目をくらますためにやっているとしか思えないような政策、例えば子育て支援、あるいは所得の少ない人達から支持を得たいが為に年金受給者に臨時給付金を支給する。また先日、今年度予算が成立したが、公共事業予算の8割を前倒し執行する。これらは明らかに選挙目的としか思えない。

     その選挙を戦う為の大義名分として、前回の選挙で上手くいった消費税引き上げ延期による2匹目のドジョウを狙っている。来年の4月に予定されている消費税の再引き上げを更に延期することを考えているようだ。アベノミクスが失敗したから予定通り再引き上げができなくなると言われたくないものだから、アベノミクスは上手くいっているけれども、国際的な経済金融情勢の変化によって再引き上げが難しくなっていることを理由にしたい。それを自分達の口からは言えないから、海外から権威のある経済学者、スティグリッツやクルーグマン等を呼んで、自分達の言いたいことを代弁してもらっている。更に本田悦郎、浜田宏一といった側近の人達をどんどんメディアに出して同じようなことを言わせている。こういう状況なので消費税の再引き上げは延期します、国民の皆さんどうですか?と言えば国民はNOと言うはずはない。私はこの際、野党から先手を打って消費税の引き上げを止める法案を出すべきだと言っているが、なかなか野党の足並みが揃わない。特に野党最大の民進党の中には財政規律を重視する人達がかなりいるし、消費税の引き上げを自分達の政権の時にやったのだから停止法案を提出することなんてできないという人もいる。民進党がそういう方向にまとまるのは難しい状況にあるように見えるが、やはり国民が何を望んでいるのかを考えるべきで、国民生活を守る為に、選挙において与党との対立点を明確に示すことが一番大事なことである。

     私は今こそ中間所得層を中心とした一億総中流社会の再構築を実現することが最も大切なことだと思う。それと同時に敵を増やさない外交安全保障政策に転換していくことが大事だと思っている。安倍政権は極端なアメリカとの協調路線をあらゆる政策において示しているので、国民にとって分かりやすい対抗軸をつくりやすい時だと思う。今、安倍政権は地方創生に力を入れている。やる気のある地域から新たな発想をどんどん出してもらって、財政的に国がサポートしていくことで地方創生を進めようとしているが、その結果よくなるのはごく一部の地域であって、このような経済の論理を地方の振興に持ち込んでいくと、益々地方における格差が拡大していく。

     また選挙制度でも人口の多い地域の議席を単純に増やしていくことになってくれば、地方の声は益々小さくなってくる。衆参両院の役割分担を含めた選挙制度のあり方を考えるべきであり、人口比例だけで割り切ってよいというものではない。地方創生に関して言えば、どういう国土を形成するのかという国土の全体計画を持つことが何よりも大事なのである。そういう計画なしに行き当たりばったりで地方創生と言ってもうまくいくはずはない。国土計画は経済の論理でできるものではない。政治がリーダーシップをとって国土全体のトータルビジョンを国民に示し、それを経済財政がバックアップしていくというのが本来のあり方である。経済の流れに政治が従っていたのではいい政治ができるはずがない。

     そういう根本を見つめ直すとともに、戦後の日本の歩みをもう一度しっかり見つめ直していく。国際環境の中での今日までの歩みを考えてみれば、やるべきことはハッキリと見えてくると思う。民進党という政党が誕生し、戦いも近づいてきているこの時に、最大野党である民進党が中心となってあるべき国家像、政権与党とは全く違う国家像を持っているのだということを明確に示してほしい。日本が独立した国として、自分の意思で国をつくれるかどうかのラストチャンスだと思う。