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    安全保障関連法について。

     9月27日(日)に閉会した通常国会において、与党は例のないような大幅な会期延長を行い、安倍内閣としての最大の懸案だった安全保障関連法を強引に成立させてしまった。私は以前のレポートでも述べているが、明らかに憲法に抵触する集団的自衛権の行使を容認する道を開いてしまった。多くの憲法学者がそれは憲法違反だと指摘していることに対して、憲法の解釈がどうなろうと、国民の生活に対して責任を負っているのは学者ではなく自分達政治家だと発言するに至っては、権力のある者の驕りや慢心という以前に立憲国家としての基本を最初から間違えていると言わざるを得ない。戦後の70年の政権運営の上で取り返しのつかない汚点を残してしまったと思う。

     憲法に違反しようがしまいが、現実の世界や国際情勢はどんどん変化している、そういう中で国民生活を守る為には憲法よりも自分達の考え方の方が正しいのだというような主張である。いわゆる解釈改憲というか、憲法改正をしないで政府が勝手に従来の法解釈を変えてしまうという手法が当たり前のようになったら非常に恐ろしいことになる。法治国家としての国の基本法である憲法がないがしろにされてしまうことになると、国家の仕組みそのものが成り立たなくなってくる。

     安倍首相や与党幹部は、審議時間を長くとったということばかり強調するけれども、どんなに審議時間を長くとっても基本的に間違ったことをやっているわけだから、国民の理解が得られるはずがない。首相自身も国民の理解が得られていないということは認めながらも、いずれ理解される時が来るだろうと言っている。岸内閣の日米安保改定の時のことを引き合いに出して、当時は大変な騒ぎで反対の人が多かったけれども、時代が経って間違いではなかったことが認められたということも述べている。しかしあの時は憲法に違反することをやったわけではないので、それを引き合いに出すこと自体間違っている。

     今回の安全保障関連法案については、特定の組織が反対運動を展開したというのではなく、多種多様なそれぞれの立場から個人的に容認できないという人達の自主的な動きが広がって、一つの反対運動になっていった。組織的な反対運動ではないからいずれ収まるだろうと甘く見ているのかもしれないが、民主政治を否定する行為を政権与党が行ったのだから、そのことに対して間違いはあくまでも間違いであるという主張をこれからも諦めることなく続けていかなくてはいけない。

     安倍首相は安全保障関連法案がまとまってもいない段階でアメリカに行って、スピーチをして成立を約束した。そこから既に間違えている。今回の法案が通ったことをアメリカが歓迎するのは当然のことで、アメリカのアジア戦略や世界戦略に日本を巻き込んで自由に使うという道が開かれたと言えるだろう。自衛隊の海外における活動範囲が広がり、アメリカの総合的な国力がどんどん落ちてきている中で、それを補完する役割を日本が背負わされることになってくる。

     それと連動した話だが、10月1日(木)に防衛装備庁という防衛省の外局がスタートした。武器の輸出・購入あるいは兵器の開発及び他国との共同開発などの中心的な役割を担う。これはまさに安全保障関連法がどういう背景の下に進められてきたかを物語っている。日本が長い間守ってきた「武器輸出三原則」も既に変更されてしまったが、紛争当事国に対して武器の輸出はしないとしても、輸出した相手の国がそれをまたその国の判断で紛争国に譲り渡すようなことは十分あり得る。まさに世界の軍拡競争の一翼を担うようなことになりかねない。平和国家としてこの70年守ってきたことがガラガラと音を立てて崩れていくような気がしてならない。

     「積極的平和主義」と言うけれど、何のことやら訳がわからない。平和を守る為に今まで以上に積極的な役割を果たしていこうというのであるならば、何も世界の警察官としての役割を果たせなくなったアメリカの軍事戦略に協力し、その補完的な役割を果たすことが最善の選択ではない。私は以前から述べてきたように、日本を敵視しない国を多くしていくという平和外交の展開の方が遥かに国民を守ることにつながってくると思う。

     ホルムズ海峡の魚雷の掃海作業などの支援にしても、公海上で同盟国の戦艦を守るというようなことにしても、始めてしまったら限度がないのである。安倍首相は戦争から国や国民を守る為にやっているのだと強弁を続ける。日本から他国に戦争を仕掛けるようなことはあり得ない、戦争を仕掛ける為の法律ではないというのはその通りだけれど、巻き込まれなくてもいい戦争に巻き込まれてくる危険性が大きくなったことは間違いない。だから安全保障関連法案に反対した人達は「戦争法案」という呼び方をしていたわけである。

     法案が通ったからもう仕方がないと諦めてはいけない。やはり間違いは間違いなのだから、皆がその主張を諦めることなく続けていく。そしてできるだけ早く政権を変えることが必要だと思う。来年の参議院選挙で政府与党に大きな打撃を与えることは、民主的な政治手法として当面一番大事なことだと思う。