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    今こそ参議院の出番だ!

     安全保障法制については、私が見通していた通りの動きになっている。安倍首相をはじめ安倍政権は、日本の国民の意思よりもアメリカに対する約束を優先させることを最初から実行するつもりでいたとしか思えない。結論先にありきで、後は国会の審議時間を消化していけばいいという、消化試合のような意識で国会の論戦に臨んでいたということだと思う。

     菅官房長官にしてもしきりに審議時間のことを取り上げる。過去の重要法案の審議時間と比べて今回は遥かに上回っているということばかり言うけれど、もともと一本一本が自衛隊法をはじめ非常に重要な法律であるのに、その改正案を無理に10本まとめて1本にしているわけだから、過去の重要法案の審議時間と比較すること自体間違っている。そして何よりも今問われているのは、審議時間のことではなく、多くの人達が憲法違反だと言っているように、内閣の憲法解釈を変えることによって憲法を形骸化していくという、立憲主義の基本に反することを最初からやっていることなのである。

     安倍首相の発言を聞いていると、日本を取り巻く国際環境が変わったのだからその中で国民生活、国民を守っていく為に大きな責任を負っているということをしきりに言う。だからと言って、自分達の判断に憲法を合わせていこうとするのは立憲主義の基本に全く反する。まず憲法を守ることが立憲主義、立憲政治の基本である。憲法の遵守義務について、特に公職にある人はそのことを重く受け止めなければいけない。今の憲法では国際環境の変化の中で国土や国民を守ることが難しいというのであるならば、何度も指摘したことだが、堂々と憲法改正の手続きを踏んで、国民に粘り強く説明、説得をしながらそれを実現させていくべきである。それこそが立憲政治の基本である。

     今回、前例のない大幅な会期延長を行ったが、多くの人達やメディアが指摘しているように参議院で60日経っても結論が出ない場合には、衆議院で再可決をして法案を成立をさせる、いわゆる「60日ルール」を使って成立させる為の日数を見込んで大幅な会期延長をしたのは見え見えである。私に言わせれば、これほど参議院を馬鹿にした話はない。これがまかり通ることになったら、まさに参議院はいらなくなる。参議院は衆議院のカーボンコピーに過ぎないと言われることがあるが、参議院は改めてその役割を問われている。「良識の府」と言われているのは、衆議院が法案の審議で判断を誤ったり、それ以前に憲法に反する判断をした時に、参議院議員が各々の良識を踏まえて、それは間違いであるとして正していく大きな役割が与えられているからである。私はその参議院が衆議院と同じように政党化していることが参議院の自殺行為になっているということを繰り返し述べてきた。参議院議員が自分の所属する政党にとらわれず、一人一人が自らの良識を踏まえ、国民の立場に立って正しい判断をしなくてはいけない重要な時を迎えている。

     安保法制に反対する国会周辺のデモや抗議集会などが今までにない盛り上がりを見せている。ところがそういう人達の行動をたいしたことではないと言わんばかりの発言が安倍内閣から相次いでいる。麻生副首相も先日、国民の大多数が反対しているのならば、自分達のところに反対の意思を伝えるメールや電話がもっと来るはずだが、たいした数ではないと発言していた。またその一方で、安倍首相は安保法制について「国民の理解が十分に得られているとは思わない。」と発言している。そう思っているのならば、国民が十分理解できる段階までしっかりした議論を積み重ね、その上で結論を出すのが筋だと思う。ところが結論が先にありきで、その時は国民の支持を得られていないかもしれないが、年月が経てば国民の理解が進むだろうということを、祖父の岸信介元首相がかつて日米安保条約改定をやった時のことを引き合いに出して述べていた。

     民主政治では多数決によって最終的に結論を得るのは当然のことであるが、その一方において少数意見を尊重するというもう一つの大きな柱がある。正しい少数意見を、議論を積み重ねていく中で多数意見に高めていき、その実現を図ることは議会政治の最も大切なことである。仮に安倍首相の判断が正しいとしても、それが国民の中でまだ少数意見であるのならば何も今急いでやる必要はない。議論を積み重ねていく中で多数意見になるような、堂々とした議論をした上で結論を出すことが議会政治の常道だと思う。安倍首相はそのことについても考え違いをしているのではないだろうか。

     今回の安保法制に反対するデモや抗議行動は、そう簡単に収まるとは思えない。これから参議院の議論が始まって新しい論点が示されたりしてくると、ますます世論は喚起されることになってくると思う。安倍内閣は強気で進んでいるけれども、半面、世論の動向を非常に気にしているように見える。だから新国立競技場の問題も白紙に戻すと言わざるを得なかった。安保法制と新国立競技場の問題を合わせて批判されては敵わない。安保法制は絶対に譲れないけれども、新国立競技場の方は譲ってもいいということで、これ以上支持率を下げない為にこのような判断をしたとしか思えない。それだけ世論に敏感であることは間違いない。経済面では株高と円安によって安倍内閣の支持率が維持されてきたが、それも危うさが見えてきた。このような状況にあって今の時期を外したら、アメリカとの約束が果たせないので何が何でもやってしまおうという動きがますます強まってくるのではなかろうか。

     安倍内閣は今まさに戦後の安全保障政策の大転換をしようとしているが、私はそれが日本や日本の国民にとって有益だという判断には全く賛成できない。どう考えてみても日本の国土や国民の危険性が増すとしか思えない。それを敏感に感じ取っている国民がどんどん増えてきているということだと思う。デモや抗議行動の盛り上がりが衰えることなく、更に広がっていくと安倍政権も衆議院の再議決がやりにくくなってくる。しかし、アメリカと約束したことだから何が何でもやろうとするだろう。それをやらせない為には、主権者である国民が立ち上がる以外に道はない。世論の盛り上がりがもっともっと大きくなってくること、その盛り上がりの中で参議院がしっかりした議論をやって、参議院としての明確な結論を出すことが大事だと思う。そのことが良識の府である参議院の権威を守ることにつながってくる。

     私は今こそ参議院の出番が来たように思う。これからの参議院の審議に期待をしながら見守っていきたい。