• Home
  • プロフィール
  • 略歴
  • 事務所
  • メール
  • 亀井亜紀子公式サイト

    国民不在の衆議院選挙

     12月2日(火)から総選挙が始まっているが、全く盛り上がりのない選挙になっている。それは当然のことで、今回の選挙ほど国民にとって意味のない選挙はないと思う。私から見れば、安倍首相の「自分の為の選挙」にしか見えない。首相周辺は、野党のだらしない状況と自民党内にライバルがいない中で、長期政権を狙っていることは間違いない。TPP、集団的自衛権、沖縄の普天間基地移設、日米ガイドラインの改定、原発の再稼働など、年明け後、重要事項に待ったなしで取り組んでいかなくてはならない。いずれもそう簡単な問題ではないので、国民の支持率が下がってくることは明白だし、どこでどういう形で追い詰められてくるかわからない。安倍首相はそれがわかっているから、今の時期しかないということで強引に解散に打って出たわけである。

     安倍首相の狡猾なところは、消費税引き上げの先送りという国民が批判できないようなテーマを前面に出した選挙にしていることだ。消費税の更なる引き上げを来年10月から1年半先延ばしするので国民に信を問うのだと説明している。消費税の更なる引き上げを決定したので国民生活に大きく響くことになるから国民に信を問うというのならわかるが、先送りをすることは国民にとっては問題が先送りされただけのことであって、そのこと自体を悪いという人はいない。その一方で、安倍内閣そのものの政治姿勢、政策を問われる選挙だとも言っている。それには集団的自衛権も沖縄の基地問題も原発の再稼働もTPPもみんな含まれると言う。そういう重要課題から国民の目をそらし、消費税を前面に出して争点をぼかしておいて選挙を戦う。そして選挙後に国民の信任を得たとして思い通りに個々の政策を進めていく、極めて狡猾なやり方だと思う。

     選挙前の安倍政権は絶対安定多数を持っていた。自公合わせれば憲法改正もできる議席を持っている中で敢えて解散を断行したのだから、議席が多少減ることは承知の上である。普通なら議席を減らせば選挙に負けたことになるが、議席を減らしても負けたと言わせない為にハードルを大きく下げて、現在政権を担っている自公両党で過半数を取れれば勝ちだ、信任されたことになると言っている。このような安倍首相のやり方は国民からある程度見透かされている。かといって今の野党の体たらくでは野党に投票する気にはならない。従って投票所に行かない人が増えてくる。国民は決して政治に関心がないわけではない。関心を持っているけれども投票したい候補者や政党がないということだろう。

     野党第一党の民主党は前回の選挙以来、様々な活動を見ていても国民の期待感は全く出てこない。これは当然のことだと思う。なぜ前々回、国民の期待が民主党に集まったかと言えば、一つには少しでも早くデフレを解消し、景気を回復させて、経済を成長軌道に乗せ、国民の所得を増やし、家計を少しでも豊かにしてほしいという思い、もう一つは将来の不安をなくす為に年金や医療、介護の社会保障体制をきちっと確立してほしいという思い、この二つのテーマが自民党政権下では実現できないと判断したから民主党に期待をして票を入れた。ところがその期待を全く裏切った。期待に応える為の具体策は何一つ生まれてこなかった。その上、東日本大震災の復旧・復興の対応の遅れなどが重なった。特に菅・野田の両政権は国民の期待を大きく裏切ったと言わざるを得ない。

     しかも今回の安倍首相の狡猾な解散時期の選び方と比較すると、野田前首相の解散に打って出た決断の稚拙さが際立つ。消費税を上げなければ日本の財政はもたないという財務省のコントロールに乗せられて、消費税引き上げ法案を当時の野党であった自公に呼びかけ、自公民三党で法案を通し、党首討論で約束した解散に突き進んだ。国民の期待に応える為には少しでも長く政権を担当しながら、消費税だけではなくもっと大きな問題に対処すべきであるのに、その立場を忘れてしまい、自分のメンツだけを優先して選挙に突入し惨敗した。しかも自分の内閣の閣僚8人を落選させておきながら責任を取らないという無責任なことをやったわけだから、国民が呆れ果てるのも当然のことだ。民主党に対して国民が期待した二つの大きな課題が安倍政権によって解決されたかと言えば全く解決されていない。その大きな課題について民主党は安倍政権に対して具体的にどう解決するのか追及せず、政治と金の問題などスキャンダル探しばかりをやっていた。そんなことをやっていたのでは国民からの期待は生まれてくるはずがない。

     今回の選挙に当たっての党首討論を聞いていても、消費税についてはもともと民主党が自らの政権の時に引き上げ法案を通したわけだから、極めて歯切れが悪い。他の政党はどうかと言えば、みんなの党は解党され、維新の党に合流した議員もいる。維新の党の江田憲司共同代表は更なる規制改革を主張しているが、規制改革を行った結果、潤うのは大企業や富裕層であって、中小零細企業や多くの国民が潤うものではない。また橋下徹共同代表は公務員の給料を削減し、それによって生じた財源で国民にクーポン券を配ると言うが、一時的に消費に結びつくかもしれないが、あくまでも一時的なことで終わってしまう。次世代の党は、基本的に集団的自衛権の閣議決定に賛成の立場を表明している。平沼赳夫党首は従来から憲法改正を主張しているが、どうして集団的自衛権の行使容認を解釈改憲でやらずに堂々と憲法を改正してやるべきだと言わないのだろうか。その方が筋が通ると思う。

     社民党と共産党は現状について正しく見ていると思うが、共産党の場合、その解決法を問われると大企業優先はけしからん、アメリカ従属はけしからん、政党助成金は廃止しろと言うばかりでなるほどと思えるような提案はない。一貫して現状に対する批判を正しく行っているので、今回の選挙で共産党の票は伸びるだろうが、政権担当の受け皿の中心にはなり得ない。他の政党も選挙の為の選挙協力のようなことはやってはいるけれども、政権が変わるという状況ではない。そういうことを考えると、はじめから勝敗は決まっている。選挙の後に、安倍内閣は信任を得たとして従来の方針のまま突き進んでいくだろう。

     私はアベノミクスは間違いなく破綻すると思っている。日銀の金融政策も行き詰まると思う。一方で様々な格差が拡大していくことは間違いない。一部の大企業と富裕層がいくら潤ったからといって、そのことで国内の消費が伸びていくような状況にはならない。安倍内閣は富裕層や大企業が経済的に豊かになれば、その富が低所得層に向かっていく、いわゆる「トリクルダウン」(したたり落ちる)の考え方をとっているが、今の状況では何もしたたり落ちてこない。円安が進み、輸入物価が上がり、家計が苦しくなる一方、名目賃金は上昇しているとはいうものの実質所得は減少している。選挙後、容易ならざる経済状況になってくると思う。今の安倍内閣の基本政策、政治理念に対してそれは間違いだと堂々と主張し、具体的な政策を示し、実行しようとする大きな政治勢力をつくっていくことにならなければ、現在の小選挙区制が続く限り国民は不毛の選択をせざるを得ないと思う。選挙の後の状況を私は非常に心配している。まさに日本の危機が近づいてきているように思う。