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    安倍改造内閣と今後の政治課題

     9月29日(月)に臨時国会が召集されることになったが、その国会を前にして各党が新しい役員人事を行った。安倍首相は内閣改造と自民党の役員人事を9月3日(水)に行ったが、それを見ると安倍首相のかなりのしたたかさが感じられてくる。裏を返せば長期政権を目指す為に知恵を絞ったということだろう。内閣の顔ぶれでも主要閣僚をほとんど留任させた。またライバルの石破氏を閣内に取り込み、谷垣前法相を幹事長に起用して党運営の責任を負わせた。そして女性の活躍を推進することと地方創生の二つを強力に進めたいと強調しているが、言うまでもないが次の総選挙、あるいは来年に予定されている地方統一選挙で勝つ為には女性と地方の支持を得ることが不可欠だと判断したからだと思う。その首相の狙い通り一時的に安倍内閣の支持率は上昇したが、これも報道機関によってかなりばらつきがある。

     女性の活躍を推進するということで、これに関連する法案を臨時国会に出そうとしている。現在の社会において女性が活躍する場を広げていくことは当然のことだが、少子化現象を考えてみても、結局女性が子供をつくりにくい環境が改善されていないから、そういう状況になっている。子供を育てにくい、子供を持つ母親が働きにくい、そういう環境を根本的に改善しない限り、いくら女性、女性と言って騒いでみてもなかなかうまくいかないだろう。何が根本的な原因なのかということの掌握が十分になされていないように私には見える。

     地方創生についても関連法案を臨時国会に提出するようだ。地方は今、急速な高齢化が進み、雇用の場も減り続けているので、ますます若者はいなくなってしまい、地方がどんどん衰退している状況にある。だから、地方の活力を何とか取り戻したいと考えるのは当然のことだが、これも小手先でいくら色々なことをやっても思うようにはいかないと思う。私が以前から指摘していることだが、どういう国をつくるのか、どういう国土を形成するのかという国土計画、国土政策が小泉政権以後、欠落したままになっている。国土全体のグランドデザインを示さないでおいて地方を創生すると言っても小手先のことに終わってしまう。もともと明治以前の藩政時代には日本の国土をバランスよく使っていたわけで、それぞれの地方に人が定住して素晴らしい個性的な文化をつくっていた。それが中央集権体制が進んでいく中で、地方がどんどん衰退をしていったのである。やはり国土のグランドデザインを示した上で、それを実現する為の地方自治広域圏をつくり、それを支えていく為の税制、財政の思い切った見直しをやらないと、いくら地方創生と言ってもそう簡単にいくものではない。まさに選挙目当ての目玉づくりに過ぎないのではないかという感じがする。

     ただ野党の力が近来になく弱いので、与党にとっては極めてやりやすい状況といえるだろう。野党第一党の民主党も先日、新たな党役員人事を発表した。海江田体制に批判的だったいわゆる6人衆を取り込んで、挙党一致的な姿を見せようということのようだが、これも選挙を意識した体制づくりのように見えてしまう。人事の面で挙党一致を強調しても、民主党という政党がどういう国をつくり、どういう社会をつくるのかという基本的な理念を示さない限り、これまた国民の期待感は出てくるとは思えない。まず今、安倍政権に対する国民の懸念に応え得る対立軸を基本理念と政策において明確に示すことが一番大事なことだと思う。それができないから野党が自民党や安倍内閣を批判的に見ている人たちの受け皿になっていない。従って無党派層がどんどん増え、過去最高の水準に達している。

     日本維新の会と結いの党が一緒になって「維新の党」がスタートしたが、これも何を目指しているのかが明確に見えてこない。みんなの党はまた内輪揉めをしている。今の野党勢力の中で安倍政権と同じ方向を向いているような党は与党の補完勢力であって、真の野党ではない。以前から指摘していることだが、理念・政策で今の自公政権と違うことを言い続けているのは共産党と社民党の二つ。だから受け皿がない中で共産党の支持率が上がってきたということだろう。やはり理念・政策で今の自公政権にはっきりと対立軸を示すことができなければ野党とは言えない。それを示せなければいくら国会論戦で内閣、与党批判をやっても国民の期待感には応えられないし、支持率も上がるとは思えない。

     こういう状況で安倍首相はいつ解散・総選挙を断行するか、そのことを慎重に図っていると思う。今度の臨時国会ではいわゆる重要な対決法案はあまり出てこない。みんな先送りしているわけで、重要なテーマをこなしていく為にはその前に解散・総選挙をやって、絶対多数を取っておく必要があるということを当然考えていると思う。選挙の時期は現時点では何とも言えないけれども、統一地方選の後に行うのか、同時にやるのか、それとももっと早く年内に実施するのか、これもまだ色々な見方、考え方があるので断定はできないが、いずれにしても解散・総選挙を意識した政権運営になってきていると思う。

     果たして安倍政権は順風満帆なのだろうか。先送りしようとしているテーマで、特に年内待ったなしに判断を迫られる消費税の再引き上げをやるのかやらないのか、また集団的自衛権の行使を可能にする関連法案は来年の通常国会に提出するのだろうが、日米安保条約に基づくいわゆるガイドラインの見直しは年内にやらなくてはいけない、更に原発の再稼働についてどう判断するのか、TPPの交渉をどうするのか。11月には沖縄県知事選挙があるが、アメリカと約束している普天間の辺野古への基地移転をどう進めるのか、これは集団的自衛権や日米ガイドライン見直しと関連したものなので、そう簡単なことではない。安倍政権はこうした大きな課題をどう乗り切っていくのか、決して楽な政権運営ではないと思う。