• Home
  • プロフィール
  • 略歴
  • 事務所
  • メール
  • 亀井亜紀子公式サイト

    集団的自衛権について

     今国会が会期末を迎える。政府提案の法案などは、衆参両院とも与党が多数を占めているので政府・与党の思い通りに処理されてきたが、何と言っても最大の問題は集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を少しでも早く行いたいという安倍首相の姿勢だ。

     公明党との間の与党協議がうまく進まないということで、自公の間では今国会中の閣議決定は難しいと判断したようだが、更に協議を加速させてできるだけ早く閣議決定したいという安倍首相の意向は益々強くなってきている。公明党は自民党の提案に対して色々と意見を言っているようだが、行使を容認した上でそれにできるだけの歯止めをかけたいという、いわば条件闘争になっているように見える。これでは全く何の歯止めにもならない。

     そもそもこれは極めて簡単な話で、集団的自衛権の行使は認められないという歴代内閣の解釈を変えて、行使を容認できるようにしたいという安倍首相の考えに対して容認できるかできないかをハッキリ言えばいいだけの話なのである。個別的自衛権も集団的自衛権も国際法では認められている権利だが、日本は平和憲法を持っていることから個別的自衛権はギリギリ行使できるけれど、集団的自衛権の行使は憲法上容認されないというのが歴代内閣の基本的な考えであるわけで、集団的自衛権の行使に条件を付ける云々というような話ではない。

     憲法上の制約があるから集団的自衛権の行使は容認されないということなのだから、行使を容認したいと言うのなら堂々と憲法を改正するということにならなければおかしい。憲法上の制約を取り除く為には憲法を改正するしか方法はないはずである。それを憲法改正の手続きを取らずに内閣によって憲法解釈を変えてしまうことは立憲主義そのものを否定することになる。今の自公協議を見ていると、その最も大切なところを飛び越えてしまって、集団的自衛権の行使を容認するにあたっての条件についての話し合いをやっているに過ぎない。公明党は平和を守るという立党の精神よりも政権与党であり続けたいという方を優先しているように見えて仕方がない。極めて残念なことだと言わざるを得ない。公明党には何とか頑張ってほしいと期待を持って見守っているところである。

     そして何よりも残念なことは、自民党内で安倍内閣の方針に異論を唱える人達の声が全く聞こえてこないということである。このコラムでも何度か指摘してきた通り、まさに安倍内閣の本質が表れてきたが、それにブレーキをかける政治勢力が共産党と社民党以外には国会の中に見当たらない。国民や有識者の間には我々と同じような意見の人達はかなりいると思うが、残念ながら国会の中に我々の意見を代弁するような人達がほとんどいなくなっている。

     それと時代が変わったと言えばそれまでのことかもしれないが、かつての60年安保の時のような、国の将来を憂う若い人達のエネルギーは一体どこへ行ってしまったのだろうか。日本の若者は元気がなくなってしまったとつくづく感じる。「長いものには巻かれろ。」、「寄らば大樹の陰」といったような人達はいつの時代もいないわけではない。しかし国や国民が危険に晒される恐れがあるという大きな判断を政治が下す時には、それを注視して堂々と発言したり行動したりしなければ、その暴走は止められない。最後は国民の判断なのである。しかも今のマスメディアは現内閣をサポートするような流れになってしまっており、批判的なメディアが少ないことも恐ろしいことである。

     日米安全保障条約において、アメリカが日本を守る義務を負っているのに日本がアメリカを守る義務を負っていないのはおかしいと言う人がいるが、アメリカの国益の為に日本がアメリカを守る義務を負うことは日本の憲法上あり得ないことなのである。だからアメリカを守る義務は負わない代わりに日本国内に米軍基地の駐留を認めて、その駐留経費を日本が応分の負担をしてきている。そのことが安保条約上担保されていることで成り立っているのである。仮に集団的自衛権の行使を容認するということになったとしたら、まさに日本にとって不平等な条約になってしまうのである。

     集団的自衛権の行使を容認することは、アメリカにとって極めて都合のよいことである。安倍内閣は日本が危険に晒された時のことばかり話をするけれど、集団的自衛権は日本が危ない時ばかりではなく、アメリカが危ない時には日本が共同防衛の義務を負う。安倍首相は自国の安全が守れないとか、国民の安全が確保されないといったことばかり言うけれど、そういうことを言いながら一方では中国、韓国との関係を悪化させ、ロシアとの関係も決してよくなっているわけではない。今日、中国の台頭あるいは中東の不安定な情勢、ロシアの対ウクライナの問題等々、世界が益々多極化、多様化している中で、日本の安全を守るということは、世界中に敵を持っているアメリカと一体化することではなく、できる限り日本を敵視する国を作らないことが日本を守る最も重要な外国戦略だと私は言い続けてきた。

     どういう内閣であっても憲法の条文の解釈を変更し、関連した法律を変えていくということは、憲法そのものをないがしろにしていることになる。内閣の憲法解釈で事実上の憲法改正をやってしまうことは立憲主義国家を根底から壊すことであり、絶対に許してはならない。来年は第二次世界大戦終了後、70年の節目を迎えることになるが、我が国は今まさに戦後最大の危機に直面していると思う。