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    何の為の改革、民営化なのか

     去る7月に行われた参議院選挙後に開かれた臨時国会が8月6日に終了し、マスコミの関心は早くも9月に行われる予定の内閣改造、党役員の改選人事と小泉首相が強く執着している郵政事業の民営化の動きに移っています。
    先般の参議院選挙の結果について首相は連立与党の自民、公明両党の議席数を合わせれば安定多数を得たと述べていますが、それは3年前に獲得した非改選の 議席数と今回得た議席を合計した結果であって、今回改選議席の過半数を大きく上回る議席を両党で得たわけではありません。
    特に自民党については改選議席数51を下回ったことは歴然とした事実なのですから、敗北は敗北として謙虚に受け止め、厳しい反省の上に立って来るべき衆議院選挙に備えた党の改革と政策の再構築を進めるべきだと思います。
    選挙直前の国会における年金問題への対応やイラクにおける自衛隊の多国籍軍への参加等について国民の不信感が強く、自民党にとって逆風の選挙ではありま したが、私自身各地を回って感じたのは、最近の小泉首相の余りにも乱暴な政治手法と、重要な政策について丁寧な説明をしようとしない政治姿勢に対する強い 批判でした。
    「官から民へ」、「国から地方へ」というスローガンを掲げ、「聖域なき構造改革」を進めようとする小泉首相に国民は大きな声援を送りましたが、私は政権 発足以来、今日まで一貫して、改革はあくまで手段であって目的ではないということを言い続けてきました。国のトップリーダーは、まず最初にどのような国を つくり、どのような国民生活を実現しようとするのか、自らが目標とする国家像を国民に明示すべきです。その上でその目標を達成する為に必要な改革の具体案 を示して国民の理解を求めれば、国民も何の為の改革なのかがよくわかると思います。

    郵政事業についても、首相は「改革の本丸だ。」と繰り返して言うばかりで、「なぜ民営化が必要なのか?」ということについて一 切の説明をしようとしません。また昨年秋の自民党総裁選において郵政事業の民営化を公約に掲げて当選したのだから、党の結論は既に決まっており、後は民営 化の内容をまとめるだけだと強弁されますが、我々は郵政事業の民営化を問う為に総裁選挙を行ったわけではありませんし、この問題は多くの改革の中の一つの 課題であって、国民にとって最優先すべきことではありません。
    先般の参議院選挙においても、有権者の関心は年金問題をはじめとする社会保障政策や外交、安全保障政策、更には本格的な景気回復の為の経済、財政、金融 政策に集中しており、多くの報道機関の調査結果でも郵政事業民営化についての国民の関心度は高くありませんでした。従って小泉政権は国民の期待に応える為 にも、まずこうした数々の重要課題に取り組むべきで、郵政事業の民営化の為だけに多くのエネルギーを費やすべきではないと思います。
    自民党は昨年の衆議院選挙の公約、今年の党大会における運動方針、先般の参議院選挙の公約に一貫して同じ文章を掲げており、現在進められている郵政公社の経営改革を見守りながら国民的議論を行った上で、今年秋頃までに結論を得ることになっています。
    政務調査会に設置された「郵政事業改革に関する特命委員会」は既に20回に及ぶ勉強会を続けてきましたが、8月中に国民の意見を聞く為の公聴会を数ヶ所 行った上で、9月から議論を始めることにしています。また、政務調査会で郵政事業を担当する正式機関である総務部会も先日郵政政策小委員会を開き、昨年発 足した日本郵政公社の最初の決算について生田総裁をはじめ幹部を招いて説明を受け、意見交換を行いました。
    更に自民党の国会議員の約7割が入会している大きな議員連盟である「郵政事業懇話会」(綿貫民輔会長)も8月5日に麻生総務大臣、公社の生田総裁をはじ め、総務省と公社の幹部を招いて役員会を開き、現在公社が進めている経営改革を支持するとともに、民営化等経営形態の変更は行わず、公社のままでの更なる 改革を支援するという方針を確認しました。
    政府は経済財政諮問会議が8月6日にまとめた民営化基本方針の骨子に基づいて8月中に集中審議を行い、9月初旬に基本方針を閣議決定した上で来年の通常 国会に法案を提出する為の作業を始めようとしています。しかし閣議決定の前に自民党の了承を求められても現状では党の意見はとても集約できませんし、民営 化の為の基本方針を党が認めることはあり得ないことです。
    そうなれば政府は党の了承が得られないまま、法案化の作業を進めることになりますが、その過程で政府案の抱えている多くの矛盾点が明らかになってくると 思います。今後の動きの中で政府と党が対立する局面は避けられないと思いますが、先に私が述べたように、何の為の民営化なのか、なぜ民営化しなければなら ないのか、というこの問題の根幹について一切説明しようとしない政府に対し、現在の郵政公社の改革を支持し、国民の為の郵政事業を守ろうとしている我々の 立場は皆さんに理解していただけると確信しています。

    日本郵政公社は昨年の4月に発足してからまだ1年4ヶ月しか経っていませんが、生田総裁の強力な指導力と職員の協力のもとに4 年間の中期経営計画を立て、着実に改革を進めています。先日平成15年度の決算が公表されましたが、約5,800億円債務超過のままスタートした郵便事業 も当初の赤字見込みから263億円の黒字に転換しており、公社化の成果が徐々に表れてきております。
    もともと郵政公社は平成10年に橋本内閣のもとで成立した中央省庁等改革基本法に基づいて設立されたものですが、その法律の33条6項に公社を設立する 為に規定した様々な措置を行えば、民営化等の見直しは行わないということが明記されています。ところが小泉内閣は、この条文は公社化までのことを規定した もので、民営化等公社化後の在り方を検討することは法律上なんら問題はないとする内閣法制局の見解をもとにして民営化の動きを進めています。私はこの条文 はむしろ公社が発足した後のことを規定したものだと解釈していますが、仮に一歩譲って公社化後の在り方を検討すること自体は認めたとしても、民営化という 経営形態の重大な変更をする為の法案を国会に提出しようとするならば、その前に改革基本法からこの条項を削除する為の改正案を提出すべきであり、法治国家 である我が国の行政の責任者が法律を勝手に解釈して行政を進めることは許されることではないと思います。
    この条項を削除する法案が国会に提出されれば必然的に民営化の是非をめぐって基本的な議論が行われることになりますし、その結果民営化が国会の意思として賛同を得られれば、その上で政府は民営化法案を堂々と提出するべきだと思います。
    それは議会制民主政治の正しい手続きではないでしょうか。民営化をめぐる様々な問題については長くなりますので、また次回にしたいと思います。