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    どういう社会を作りたいのか

    2005年8月29日(月)

     政治不信が広がって久しく、自民党政権は嫌になったが、かといってそれに代わるような政党がない。日本新党は新鮮だったが、7党連立ではどうも安定感が ない。やっぱり自民党が与党の方が安心だが、自民党単独では信用できないので連立政権がよい。かくして自民党のパートナーは変遷し、一度与党の味を知った 野党は政策を捨てて権力に擦り寄った為、気が付いた時には個性をなくして衰退していった。少数政党は離合集散を繰り返し、小選挙区制の導入は二大政党化を 加速した。そして自公連立の時代がやってきた。いまや自民党は公明党の創価学会票に頼らなければ選挙に自信がない。公明党は与党に留まりたい。自公連立か 民主党か、という政権交代があり得る状況が生まれたのはいいが、果たして二大政党の違いはなんだろう?

    国民の皆様の気持ちをまとめるとこんなところでしょうか。一体日本の政治は何を置き去りにしたのでしょう?それは政策論争です。もっと大きな意味でとらえれば党としての政治理念であり、どういう社会を作りたいのかというイメージです。
    多くの賢い国民の皆様が察している通り、自民党も民主党も党の中で考えがまとまっていません。つまり党の中に色々な考えの人がいるのです。小選挙区制は公 認候補を各党一人しか立てられない為、中選挙区時代なら自民党から出馬したであろう人達が民主党に流れました。けれども民主党には労組系の人もいます。
    また自民党はもともと多様な考えを持った人の集団でした。党の中では自由な議論が行われ、妥協点を見出し、民主的な決定を経て法案が国会に提出されてき ました。更にどうしても最後まで法案に賛成できない場合、本会議採決を欠席するというささやかな抵抗も、選挙民の代表である一国会議員の意思表示として大 目に見られてきました。(自民党の内部については前回レポートの「崩壊する民主主義」をご参照ください。)けれども古き良き自民党はもうありません。いま や「首相の言うことを聞かない奴は出て行け!」という恫喝政治のまかり通る小泉政党に変わってしまいました。小泉首相は確かに古い自民党をぶっ壊したので す。

    小さな新党に対し、マスコミや国民の皆様は、どうせまた自民党に戻るだろう、あるいはいつまで持つことやら、と思っているかも しれません。けれども私はしっかりした理念と政策を持った党を一から作りたいのです。小選挙区制が政党を主体とした選挙であり、政策論争を期待されるので あれば、政党の枠組みは政策の違いによって決められなければなりません。今は自民党のAグループと民主党のBグループの考え方が近いというような状態で す。ですから私は政界再編が必要だと思っています。今回の選挙で自公が過半数を割れば、政界再編の可能性はあると見ています。
    では政党の枠組みはどうあるべきか。私は一つの大きな軸として、「小さな政府」か「大きな政府」かという違いがあると思います。市場原理に則った弱肉強 食社会か、弱者を守る共生型社会か、ともいえます。またグローバルスタンダードを是とするか、日本の伝統文化を尊重するか、という違いもあります。政治哲 学の違いです。
    一つ確かなことは、小泉改革というのは弱肉強食のアメリカ型資本主義社会に向かっています。「一億総中流」と言われた日本が、今急速に「勝ち組・負け 組」の二極化に向かっています。私は小泉政権とは経済政策についても、イラクの自衛隊派遣についても、郵政民営化についても意見が合いませんでした。郵政 民営化問題は党を出る一つの契機ではありましたが、小さな政府を推し進める自民党とは目指す社会が違うようです。

    国民新党は日本の伝統・文化を大切にし、弱肉強食ではなく共生の理念を大事にしたあたたかい社会を実現します。生まれたばかりの政党ですが、方向性としてはそういう党だとご理解ください。今後の皆様のご支援をよろしくお願い致します。

    崩壊する民主主義

    2005年6月17日(金)

     今、日本の議会制民主主義は危機に陥っています。小泉首相は自民党総裁に就任した際、「自民党を改革する。さもなければぶっ壊す。」と宣言しましたが、 実は小泉首相が本当に壊しているものは自民党ではなく、民主主義そのものではないかと私は最近益々危機感を強めています。来年で25年になる議員生活の中 で、私は政府がこれほど強権政治に走っている姿を見たことがありません。今回の政治レポートでは、法案が成立するまでの日本の政治の仕組みについて説明し ながら、今自民党で起きていること、国会で起きていることについて率直にお話したいと思います。

    これまで国民の皆様は、最大与党の自民党と、自民党総裁が率いる政府(内閣)が激しくぶつかり合う姿をほとんど見たことがない でしょう。なぜならそれは、歴代の首相が独裁的にならずに自民党員の意見を聞き、党の幹部(自民党執行部)である三役(幹事長・政調会長・総務会長)が所 属議員の意見を集約して調整することで、それぞれの法案について多数の議員の賛同が得られるところまで政府が歩み寄るという民主的手続きを踏んでいたから です。つまり自民党の了承を得て政府が法案を国会に提出するということは、自民党議員の多数はその法案に賛成しているということを意味していました。党が 了承して国会に法案を提出した場合は本会議の採決時に「党議拘束」がかかるので、自民党議員である以上、賛成票を投じざるを得なくなります。ではその法案 には最後まで反対だったが、党内の多数決で敗れてしまった自民党議員はどうするのかといえば、滅多にないことですが、本会議を欠席するのです。これは一国 会議員としてのせめてもの抵抗であり、意思表示の手段として時として許されてきた慣習です。

    憲法で定められた立法府は国会ですが、野党がいくら国会で法案に反対しても、与党がまとまって法案に賛成すればその法案は成立 してしまいます。野党ができることは、法案成立を止めることよりも意見を戦わせて修正を勝ち取るか、その意見を国民にアピールし、次の選挙で勝利を目指す ことしかありません。ですから実際には、法案が国会に提出される時点で与党の了承を取り付けられるかどうかが法案の成否を決めることになります。自民党の 「了承」にはこのような重要な意味がありますから、この過程は民主的に行われなければなりません。
    ところが今問題なのは、自民党執行部が小泉首相のイエスマンと化し、議員との意見調整を図ろうとしなくなったことです。自民党の党首である小泉首相は、 自分を党首に選んだのだからという理由で党内の意見に耳を傾けようとせず、執行部を叱咤しています。首相がしばしば「法案の修正はしません。」と記者会見 で発言するのは、「党員の意見は聞きません。」ということと同じ意味を持っています。けれども党員にとって、総裁を選ぶことと、法案の一つ一つに賛成する ということとはまったく次元の違う話です。小泉首相の言う「自民党を改革する。」というのは、「自民党の独裁者になる。」ということに等しく、これが現在 の党内対立の根底にあります。今自民党がどういう状態なのか、最近の例を二つ挙げてお話しましょう。
    まず一つは4月21日(木)の午後4時から行われた法務部会・人権擁護等調査会合同会議です。この日は平沢勝栄法務部会長と古 賀誠人権問題等調査会長が同席していました。衆議院補欠選挙の投票日を3日後に控え、公明党の選挙協力を取り付ける為に自民党と公明党執行部が人権擁護法 案の国会提出を約束したとの噂があり、なんとなくいつもと雰囲気が違います。廊下にはマスコミ関係者が集まり、室内には今まで会議に参加したことのない顔 ぶれも多く、予想外の人数に椅子を追加しなければならないほど部屋は混み合っていました。会議の冒頭で法案反対派の一人が「数で押し切ることはしないよう に。」と釘を刺し、真面目な議論が始まりました。ところが2時間を過ぎたところで突然、古賀調査会長が立ち上がり、時間もかなり経過したという理由で「私 に一任をお願いしたい。」と宣言、法案賛成派の議員からは拍手が沸き起こりました。そしてそのまま古賀氏とこの日だけ会議に現れた賛成派の議員は部屋から 退出してしまったのです。当然室内は騒然としました。結局平沢法務部会長の「法務部会はまだ閉会していない。」という判断で会議は続けられ、法務部会とし ては「一任了承せず。」ということで閉会しました。この一件はマスコミでも報道された通りです。
    ところが週が明けた4月25日(月)、翌日の政務調査会審議会(政審)の議題に人権擁護法案が載っていました。自民党の法案審 査は三段階になっており、部会→政審→総務会というそれぞれの過程で了承されて初めて党が正式に法案を了承したことになります。つまり政審に諮られるとい うことは、部会で了承されたということを意味します。驚いた反対派の議員数名が慌てて与謝野政調会長に申し入れをし、政審の議題にすることは阻止したので すが、現在も人権擁護法案は与謝野政調会長が預かったままです。本来は法務部会を開いて正々堂々と意見を戦わせ、法案への対応を決めていくべきものです が、党内における民主的議論はまだ再開されていません。
    それでも今のところ人権擁護法案は国会に提出されずに止まっています。一方党内の反対を押し切って提出されたのが、二つ目の例としてお話する郵政民営化法案です。

    ご存知の通り3月に予算が成立し、小泉政権は4月中に郵政民営化法案の国会提出を目指すとして自民党の了承取り付けを急ぎました。自民党の郵政合同部会 は4月5日(火)から連日開催されましたが、反対派の質問や意見に対して政府側から十分な回答が得られません。議論は平行線を辿り、4月18日(月)の午 後4時に始まった部会が延々と続いた午後9時頃、与謝野馨政調会長と園田博之合同部会座長が突然「執行部への一任」を宣言して騒然としました。この時点で の反対派と賛成派の割合は8対2程度です。当然収拾はつかず、部会は日付が変わって午前3時半まで続きます。そして再び与謝野政調会長と園田座長が「一 任」を宣言して退出し、今度は部屋に戻ってきません。私は合同部会の役員なので、会議を正常化させようと園田座長と話をしましたが、この日は会議が打ち切 りとなりました。

    翌日の午後に再び合同部会が招集されましたが、前日の騒動で執行部への不信感が募り、相変わらず意見が激しく対立します。この ような状況の中、執行部は「政府と法案について交渉することを一任された。」とメディアに向かって発言し、党五役(武部勤幹事長・与謝野馨政調会長・久間 章生総務会長・青木幹雄参議院議員会長・片山虎之助参議院幹事長)が集まって政府側と合意案をまとめてきました。いわば「見切り発車」です。そしてこの合 意案は、合同部会の了承を得ないまま政審に諮られました。私は政審の委員(18人います)ですからこの会議にも出席していましたが、法案への賛成の意見を 述べた議員は全くありませんでした。それでも与謝野政調会長と司会役の柳沢政調会長代理は政審で了承されたと宣言し、最後の関門である総務会に法案を上げ たのです。合同部会では8割の議員が反対、政審では委員全員が反対という法案ですから、当然法案が了承されるわけはありません。これが総務会で「政府案を 提出することは了承するが、法案の中身は了承せず。」、「党議拘束はまだかかっていない。」という結論に至った背景です。

    実は国会への法案提出権というのはもともと憲法で内閣に与えられている権利ですから、法律上は政府が法案を提出すること自体に は自民党の了承をいちいち必要としません。つまり総務会の結論というのは、「自民党は法案の内容を了承しないが、政府が国会に提出するなら勝手にどう ぞ。」と言ったに等しいのです。党議拘束がかからないということは、自民党議員が個人の考えで自由に投票するので、郵政民営化に反対している野党の票と合 わされば法案は否決される可能性があります。小泉首相はどうしても郵政民営化法案を今国会で成立させたいようですから、自民党内の反対派の勢いが衰えず法 案が否決されそうな恐れがあるので、野党の反対を押し切って会期を延長し、反対する自民党議員に様々な圧力をかけてでも成立させようとしています。これが 今実際に国会で起こっていることなのです。

    自民党の反対派のほとんどの議員は、郵政事業を健全に発展させる為に結成されている郵政事業懇話会(綿貫民輔会長)に入会して いますから、この会の勢いが法案の成否を測る一つのバロメーターになります。メディアで郵政事業懇話会の総会が開催される度に出席した人数が報道される背 景には、「民営化法案に反対している議員がこれだけいます。」という意味があるわけで、だからニュースになるのです。郵政事業懇話会は自民党執行部が合同 部会を打ち切って法案を総務会まで進めた「少数決」による行動を、民主主義に反する行為として厳しく批判しています。

    さて、国会では連日郵政特別委員会において、政府が提出した郵政民営化法案が審議されています。郵政事業というのは総務省の所 管なので、本来この法案は国会の常任委員会として総務省関係の法案を扱う総務委員会で審議されるべきものでした。ところが総務委員会には民営化に反対する 議員が多い為、自民党執行部は小泉首相と相談の上で強引に「郵政民営化に関する特別委員会」を設置してしまいました。この国会運営について民主党と社民党 が強く反発し、審議拒否をしていたのは皆様ご承知の通りです。審議拒否といっても郵政特別委員会の設置自体を認めないということで、野党は特別委員の名簿 も提出していなかったのですから、その時点では委員会はまだ正式に発足していなかったのです。つまり与党と共産党議員だけが集まって委員長を選び、民主 党、社民党と話し合わずに法案審議をその場にいる人だけで進めようとしたこと自体が民主主義に反しており、国会運営として正常ではないのです。ただそうは 言っても共産党が審議に加わり、民主党や社民党もいつまでも「寝ている」わけにはいかないので、反対意見を主張しようと論戦の場に加わりました。

    郵政特別委員会の様子はテレビの国会中継で度々放映されていますから、どうぞご覧ください。郵政民営化に賛成の方も反対の方 も、なぜこの法案についてこんなに揉めているのか、直接議論を聞くことで論点が見えてくるでしょう。自民党内でいくら議論していても会議が公開されないの で、議論の中身はなかなか国民に伝わりません。法案の成否が国会の場に持ち込まれ論戦が繰り広げられることは、国会が立法府として本来の役割を求められて いるということでむしろよいことかもしれません。今回の郵政民営化法案は与党の了承が取れていないので、野党が反対の立場で、与党が賛成の立場で政府側 (担当大臣)に質問するといういつもの構図とは違っており、国民にとって興味深いことだと思います。

    郵政民営化については賛成の方もいるでしょう。またこんな法案に時間を使うより他の問題を早くなんとかしてほしい、という方も 大勢いるでしょう。私も同感です。今急いで郵政事業を民営化することよりも、他に議論すべき問題はいくらでもあります。世論を見ても国民の関心は景気対 策、社会保障政策、治安対策、外交等他の課題にあります。言い換えればこれだけ世論に反し野党ばかりか与党の多数の賛同も得られない法案を、首相の一存で 国会に提出して会期日数を使い切ってしまうこと自体がまず政府の大暴走であり、民主政治とは言えないのです。けれども小泉首相は内閣支持率がある程度維持 されている限り、この暴走をまだまだ続けるでしょう。

    最後に「綿貫勉強会」についてお話しますが、これは政治の現状に危機意識を持つ自民党議員の有志が集まって勉強する「民主主義 と議会政治を考える会」であり、郵政民営化反対派の会合と同義ではありません。ただメンバーがかなり重複していることは事実です。綿貫議員は自民党幹事長 や衆議院議長を務められた自民党の良識を代表する存在として、党内でも尊敬を集めている長老です。その綿貫議員が現在の日本の政治を「民主主義の危機」と して非常に心配し、私も含めて多くの議員が同調しています。一番の問題は、国民の代表である国会議員が軽視されていることにあります。小泉政権は不透明に 選出した民間委員を経済財政諮問会議をはじめとする政府の審議会に加え、その審議会の答申に沿った政策を各役所に作らせています。それが政府案として与党 に示されるわけですが、与党としてはその中身をチェックし、修正できるものは修正して、その上で「了承」された法案が国会に提出されれば成立に努めること になります。この手続きは極めて重要で、これを無視すると政府の独走を許すことになります。

    言うまでもなく我が国はアメリカのような大統領制ではなく、議院内閣制であることが憲法で定められています。国民から選ばれた 国会議員で構成される国会は、国権の最高機関であることが明記されており、その国会が行政権の長である内閣総理大臣を指名するのです。小泉首相は自民党の 総裁として与党の支持を得て首相になっているのですから、重要な政策について与党の意見に耳を傾けるのは当然のことです。自分は自民党総裁なのだから自民 党議員はなんでも言うことを聞け、自分は首相なのだから立法府である国会も言うことを聞け、というのでは日本の議会政治、議院内閣制は成り立たなくなって しまいます。ここで民主的手続きが無視されるのであれば、これは日本の民主主義の危機と言わざるを得ないのです。冒頭でもお話しましたが、小泉首相は「自 民党を改革する。」というキャッチフレーズを掲げながら、自分に従う議員に踏絵を踏ませて役職を与え、独裁主義に突っ走るというとんでもない方向に向かっ ています。

    私のところには、人権擁護法案に反対するメールと郵政民営化に反対する手紙や葉書が、国民の皆様から毎日のように送られてきま す。私はこれが国民の声であると思います。今国会においては、多くの自民党議員の反対を無視して国会に提出されてしまった郵政民営化法案の成立を阻止し、 政府の暴走を止めることを私は最優先しています。そうしなければ政府の提出する法案は、世論に逆らっても押し切れば成立してしまうという危険な道筋を作る ことになります。もちろん人権擁護法案についても、党内の真面目な反対意見を無視して少数が強引に押し切る形での国会提出は認めるわけにはいきません。こ ちらの法案は民主主義の基本である「言論の自由」に関わる問題です。
    国民の皆様には、国民の利益を代表しているのは誰かということに注意し、政権を監視し、納得できない政策や政権には「NO」と 言い、自分達の利益を代表する国会議員を正しく選び、おかしな行動をとる議員は次の選挙で落とすということが求められています。民主主義(=国民主権)と いうのは、結局のところ国民が賢くなければ機能しません。今のような政治状況を作り出したのは、国民の信頼を失いつつある自民党の中で小泉首相が新鮮に見 えた為、「改革」という言葉に惑わされて内閣に高い支持率を与え続けたことや、国民が政治に無関心になったことが原因でしょう。自民党は派閥政治を批判さ れ、無党派層を増やしてしまいましたが、それでもまだ良識ある真面目な議員は少なからず存在しますし、若手も育っています。首相や政府が暴走するという危 機的な状況の中で、今派閥単位ではない、個々の議員による本来の政策論争が党内で展開され始めたのはよいことだと思います。郵政民営化法案について自民党 が最後まで「了承」しなかったのは、その一つの現れなのです。

    今自民党議員は個人の「良識」に従って行動しています。そして良識ある個々の議員は、政府や所属政党の圧力に負けずに堂々と行 動する為にも、国民の皆様のサポートを必要としています。次の選挙でも有権者の支持を集められるという自信が政治行動のベースになるのです。そういう意味 で国民には国民の役割が求められています。

    日本の崩壊しかけた民主主義を守る為には、まさにこれからが正念場です。

    郵政民営化に反対する理由2

    2005年1月31日(月)

     今国会で最大の争点となるのは、なんといっても郵政民営化問題です。小泉首相は若い頃から郵政事業の民営化に異常なほど執着しており、国会答弁でもこの 問題になると、すぐに興奮して絶叫するのは皆さんご存知の通りです。その割には国民の関心度は低く、むしろ経済や年金問題、イラクへの自衛隊派遣や憲法改 正問題等、人々の関心は別のところにあるように思います。通常国会が開会しましたが、郵政事業の民営化には野党のみでなく、自民党議員の多くが反対してい ます。かつての国鉄のように赤字経営に苦しんだりストを繰り返しているわけでもなく、郵政事業を民営化してほしいという強い声は、国民からは全く聞こえて きません。それどころか、私の事務所には「郵便局を民営化しないでほしい。民営化されれば統廃合が進み、私達の町は益々過疎化が進んでしまう。鉄道の駅も 無人化されたり廃止されたりした上に、今度は郵便局まで奪おうというのか。」という切実な陳情書が多数送られてきています。つまり郵政民営化というのは、 小泉首相を中心とするごく少数派が進めようとしている政策であり、だからこそ野党ばかりか与党自民党の理解も得られず、調整が難航しているのです。自民党 が党として郵政民営化を公約に入れたり認めたりしたことは今まで一度もありません。どう民営化するか、という方法論ではなく、郵政事業の民営化そのものに 反対している私のような議員が、党内には少なからずいます。ですから「まず民営化ありき」という政府(内閣)の論調は非常に不快です。
    この問題に関する今までの経緯については、昨年11月に日本再生会議で行った講演の記録を是非お読みください。日本再生会議(自民党有志議員による政策勉強会)では、メディアで伝えられていない内容を色々とお話しましたので、皆さんにも郵政民営化問題の真相をご理解いただければと思います。

     郵政事業の民営化に反対すると、特定郵便局長会や郵政職員の労働組合等、一部の団体の利益を守ろうとしているかのように報道されたり、公務員の給与削減 に民営化は不可欠であると大手マスコミは書き立てるのですが、間違った情報を元に国民に判断させるという世論操作が行われるのは、大変恐ろしいことです。
     実際には郵政事業に税金は投入されていませんし、税金を使わなくて済むように三事業(郵便・貯金・保険)一体で経営されているのであり、これを切り離し たら郵便事業が成り立たなくなるのは目に見えています。離島から航空機に乗せて運ばれる郵便物と東京都内で配送される郵便物にかかる経費が異なるのは常識 で考えれば当たり前であり、全国どこに住んでいても差別せず、同じ料金で均一なサービス(ユニバーサルサービス)を提供できるのは、郵便事業を国が行って いるからです。小泉首相は「官から民へ」と言いますが、郵便事業は「民」ではできないから「官」がやるのであり、全てビジネスの論理で政治を行ったらとん でもないことになってしまいます。
    ですから郵便事業自体はビジネスとして儲かるものではありませんが、貯金や保険事業と一体で経営することで赤字を補い、税金を投入しなくても健全に運営 されているのが今の郵便局です。これをそれぞれの業務に分社化し、さらに窓口ネットワーク会社などという不可解なものまで作って4分社化するという政府案 は、到底受け入れられるものではありません。窓口ネットワーク会社というのは、政府の説明によると郵便局の窓口を運営するだけの会社ですから、他の3会社 からの委託料以外にはビジネスとして全く収入源がなく、赤字が山積するのは今から目に見えています。それでも郵便局を減らさずに現状を維持しようとすれ ば、この奇妙な会社や郵便会社に政府の責任として莫大な税金が投入される日がくるかもしれません。またシステム構築にも膨大なコストがかかります。どうし てここまでして郵政事業を民営化したいのか、私には本当に理解できません。

     これは一体どういうことなのか。実は郵政民営化問題というのは、国益を賭けた戦いなのです。今郵便局に預けられている皆さんの 貯金は郵便局が国営である為、民間企業にとっては手を付けたくても手を付けられないお金です。そしてこのお金は日本国債の購入や公共事業等、第二の国家予 算(財政投融資)とも言われながら日本の国の為に使われています。このお金の使途を見直し、無駄をなくすことはもちろん必要でしょう。けれどもそこに国民 の貯金があり、そのお金が自国の為に投資されることは悪ではありません。一方この莫大な資金を民間企業、特に外資系企業が虎視眈々と狙っています。もし貯 金や保険事業が民営化された場合、一民間企業となった新会社が将来どこかの外資系企業に買収されて〇〇ジャパンというような社名になり、皆さんの貯金が海 外に流出することになるかもしれません。小泉政権は民営会社であった長銀を国有化して莫大な税金(約8兆円)を投入し、その後安値で外資系企業に売却しま した。その会社の株主であるアメリカの投資家達は、この銀行を新生銀行と名称を変えて株式市場に上場し、巨額の利益を得ています。その一方で健全に運営さ れている郵政事業を与党にも野党にも反対されながら、無理矢理民営化しようとしています。果たして小泉首相と竹中経済財政政策担当大臣は、本当に日本の国 益を考えて政治を行っているのかと疑問に思わざるを得ません。政府には郵政民営化によって具体的に国民にどのような利益があるのか、明確に説明する責任が あります。ただ「改革の本丸」と叫ぶだけでは全く説明になりません。

     私は小泉政権を批判していますが、それでも自民党員です。小泉首相が「抵抗勢力」と批判する自民党の議員には、しっかりと政策 を持ち、正論で勝負している人達が多数います。一時、「毒まんじゅう」を食べたなどとマスコミに揶揄されたのは権力に迎合する側の議員であり、「抵抗勢 力」という言葉がしばしば悪役のように使われていますが、実は抵抗すること、反対意見を述べることの方がよっぽど難しいのです。

     イラクの自衛隊派遣の問題にしても、党内に慎重論は存在しています。現在の政府と与党の対立は、反対意見に全く耳を貸さずに強引に閣議決定していく小泉 首相の政治姿勢が招いたものであり、この軋轢は郵政民営化問題をめぐって更に深刻化するでしょう。私は国民の皆さんに正確な情報を伝える為にホームページ を活用していきますので、国益を守れるよう皆様の一層のご支援をよろしくお願い申し上げます。

    何の為の改革、民営化なのか

    2004年8月13日(金)

     去る7月に行われた参議院選挙後に開かれた臨時国会が8月6日に終了し、マスコミの関心は早くも9月に行われる予定の内閣改造、党役員の改選人事と小泉首相が強く執着している郵政事業の民営化の動きに移っています。
    先般の参議院選挙の結果について首相は連立与党の自民、公明両党の議席数を合わせれば安定多数を得たと述べていますが、それは3年前に獲得した非改選の 議席数と今回得た議席を合計した結果であって、今回改選議席の過半数を大きく上回る議席を両党で得たわけではありません。
    特に自民党については改選議席数51を下回ったことは歴然とした事実なのですから、敗北は敗北として謙虚に受け止め、厳しい反省の上に立って来るべき衆議院選挙に備えた党の改革と政策の再構築を進めるべきだと思います。
    選挙直前の国会における年金問題への対応やイラクにおける自衛隊の多国籍軍への参加等について国民の不信感が強く、自民党にとって逆風の選挙ではありま したが、私自身各地を回って感じたのは、最近の小泉首相の余りにも乱暴な政治手法と、重要な政策について丁寧な説明をしようとしない政治姿勢に対する強い 批判でした。
    「官から民へ」、「国から地方へ」というスローガンを掲げ、「聖域なき構造改革」を進めようとする小泉首相に国民は大きな声援を送りましたが、私は政権 発足以来、今日まで一貫して、改革はあくまで手段であって目的ではないということを言い続けてきました。国のトップリーダーは、まず最初にどのような国を つくり、どのような国民生活を実現しようとするのか、自らが目標とする国家像を国民に明示すべきです。その上でその目標を達成する為に必要な改革の具体案 を示して国民の理解を求めれば、国民も何の為の改革なのかがよくわかると思います。

    郵政事業についても、首相は「改革の本丸だ。」と繰り返して言うばかりで、「なぜ民営化が必要なのか?」ということについて一 切の説明をしようとしません。また昨年秋の自民党総裁選において郵政事業の民営化を公約に掲げて当選したのだから、党の結論は既に決まっており、後は民営 化の内容をまとめるだけだと強弁されますが、我々は郵政事業の民営化を問う為に総裁選挙を行ったわけではありませんし、この問題は多くの改革の中の一つの 課題であって、国民にとって最優先すべきことではありません。
    先般の参議院選挙においても、有権者の関心は年金問題をはじめとする社会保障政策や外交、安全保障政策、更には本格的な景気回復の為の経済、財政、金融 政策に集中しており、多くの報道機関の調査結果でも郵政事業民営化についての国民の関心度は高くありませんでした。従って小泉政権は国民の期待に応える為 にも、まずこうした数々の重要課題に取り組むべきで、郵政事業の民営化の為だけに多くのエネルギーを費やすべきではないと思います。
    自民党は昨年の衆議院選挙の公約、今年の党大会における運動方針、先般の参議院選挙の公約に一貫して同じ文章を掲げており、現在進められている郵政公社の経営改革を見守りながら国民的議論を行った上で、今年秋頃までに結論を得ることになっています。
    政務調査会に設置された「郵政事業改革に関する特命委員会」は既に20回に及ぶ勉強会を続けてきましたが、8月中に国民の意見を聞く為の公聴会を数ヶ所 行った上で、9月から議論を始めることにしています。また、政務調査会で郵政事業を担当する正式機関である総務部会も先日郵政政策小委員会を開き、昨年発 足した日本郵政公社の最初の決算について生田総裁をはじめ幹部を招いて説明を受け、意見交換を行いました。
    更に自民党の国会議員の約7割が入会している大きな議員連盟である「郵政事業懇話会」(綿貫民輔会長)も8月5日に麻生総務大臣、公社の生田総裁をはじ め、総務省と公社の幹部を招いて役員会を開き、現在公社が進めている経営改革を支持するとともに、民営化等経営形態の変更は行わず、公社のままでの更なる 改革を支援するという方針を確認しました。
    政府は経済財政諮問会議が8月6日にまとめた民営化基本方針の骨子に基づいて8月中に集中審議を行い、9月初旬に基本方針を閣議決定した上で来年の通常 国会に法案を提出する為の作業を始めようとしています。しかし閣議決定の前に自民党の了承を求められても現状では党の意見はとても集約できませんし、民営 化の為の基本方針を党が認めることはあり得ないことです。
    そうなれば政府は党の了承が得られないまま、法案化の作業を進めることになりますが、その過程で政府案の抱えている多くの矛盾点が明らかになってくると 思います。今後の動きの中で政府と党が対立する局面は避けられないと思いますが、先に私が述べたように、何の為の民営化なのか、なぜ民営化しなければなら ないのか、というこの問題の根幹について一切説明しようとしない政府に対し、現在の郵政公社の改革を支持し、国民の為の郵政事業を守ろうとしている我々の 立場は皆さんに理解していただけると確信しています。

    日本郵政公社は昨年の4月に発足してからまだ1年4ヶ月しか経っていませんが、生田総裁の強力な指導力と職員の協力のもとに4 年間の中期経営計画を立て、着実に改革を進めています。先日平成15年度の決算が公表されましたが、約5,800億円債務超過のままスタートした郵便事業 も当初の赤字見込みから263億円の黒字に転換しており、公社化の成果が徐々に表れてきております。
    もともと郵政公社は平成10年に橋本内閣のもとで成立した中央省庁等改革基本法に基づいて設立されたものですが、その法律の33条6項に公社を設立する 為に規定した様々な措置を行えば、民営化等の見直しは行わないということが明記されています。ところが小泉内閣は、この条文は公社化までのことを規定した もので、民営化等公社化後の在り方を検討することは法律上なんら問題はないとする内閣法制局の見解をもとにして民営化の動きを進めています。私はこの条文 はむしろ公社が発足した後のことを規定したものだと解釈していますが、仮に一歩譲って公社化後の在り方を検討すること自体は認めたとしても、民営化という 経営形態の重大な変更をする為の法案を国会に提出しようとするならば、その前に改革基本法からこの条項を削除する為の改正案を提出すべきであり、法治国家 である我が国の行政の責任者が法律を勝手に解釈して行政を進めることは許されることではないと思います。
    この条項を削除する法案が国会に提出されれば必然的に民営化の是非をめぐって基本的な議論が行われることになりますし、その結果民営化が国会の意思として賛同を得られれば、その上で政府は民営化法案を堂々と提出するべきだと思います。
    それは議会制民主政治の正しい手続きではないでしょうか。民営化をめぐる様々な問題については長くなりますので、また次回にしたいと思います。

    郵政民営化に反対する理由1

    2004年4月25日(日)

     小泉首相にとって長年にわたる執念とも言うべき最大のテーマが郵政事業の民営化です。けれども私は郵政事業の民営化は全く必要 ないと考えています。重要なのは、郵政事業を民営化したら国民にどのような利益があるのかという「結果」ですが、この点について小泉首相は全く説明をしていません。何の為の郵政民営化か、という議論なしに改革を進めるわけにはいきません。私がなぜ郵政民営化に反対するのか、その理由を以下に述べたいと思います。
     国の事業を民営化する時、私達が議論しなければならないのは何を「官」に任せ、何を「民」に任せるべきか、という役割分担です。小泉政権は「官から民 へ」をキャッチフレーズに改革を進めようとしています。本来「民」がやるべき仕事を「官」がやっているのであれば民営化しても構いませんが、「民」がやっ ても利益は出ないけれども、国民にとって必要な仕事は「官」がやらなければなりません。したがって官と民との役割分担を明確にすることがこの議論の出発点 だと思います。
     郵政事業は郵便・貯金・保険の三事業が一体として運営されており、地方においてはなくてはならない生活インフラの一部になっています。もし民営化されれ ば、採算の合わない郵便局は統廃合されることになり、現在のような地域格差のない均一なサービスや料金は維持できなくなるでしょう。ちなみに自由競争で知 られるアメリカでさえ、郵便事業は国営で行われています。
     かつての国鉄のように莫大な赤字を抱え、国の財政支援がなければ成り立たなくなっているのなら不採算部分を切り捨てて民営化するのもわかります。けれども郵政事業は税金の投入を全く必要としない健全な経営を続けており、国鉄民営化の時とは状況が全く違うのです。
     私が一番理解できないのは、巨額の不良債権を抱えた民間の金融機関に公的資金を注入して一時国有化した上、安値で民間、しかも外資に売却しておきなが ら、なぜ国営で税金の投入なく健全に回っているものを民営化する必要があるのかということです。貯金と保険を合わせると350兆円を超える巨額の資金を運 用している郵政事業を民営化し、その資金を取り込もうとしている外資の戦略が働いているように私には思えてなりません。日本の金融をコントロールすること ができれば、金融を通じて自己資本の少ない日本の産業を支配することが可能になります。貯金や保険のお金は利用者の零細なお金の集積なのですから、外国に 流れ出すのではなく、国益の為に有効に使われるべきだと私は考えます。
     また郵貯資金は大量の国債を引き受けています。これからますます国債の発行が増えそうな時に郵政を民営化すれば国債の消化がうまくいかなくなり、国債価 格の下落、更には長期金利の上昇を引き起こし、多額の借り入れをしている企業は金利負担に耐えられなくなります。また民間の金融機関は国債を大量に保有し ていますから、国債が下落すれば第二の金融危機を招き、日本経済は大混乱に陥るでしょう。
     小泉内閣の政策とりわけ郵政民営化に反対すると、マスコミは「抵抗勢力」という言葉で安易に片付けようとしますが、私は国益と国民の生活を考えて反対しています。国民にとってあまりメリットのない政策にこれ以上エネルギーを使うのは意味がないと私は思います。